【Vol.28】桐朋との繋がり -35期 深澤幸郎さん 後編-

ゲスト    :桐朋学園初等部35期卒 深澤幸郎さん(以下、深澤さん)
インタビュアー:桐朋初等部同窓会 会長 髙田紀世(以下、髙田)

 

深澤幸郎さんとのインタビューの後編です。
前回のインタビュー<前編>はこちら

髙田:
幼稚園の今ある遊具でコトブキさんのものがあるとお聞きしたのんですが、この遊具がいいみたいなお考えがあったのですか?

深澤さん:
そこは選定も含めて、卒業生の会社だからという理由で、全部うちの製品が納まっているわけではなく、「いいものを選びます。」というところが桐朋らしくていいなって思っています。なので、こういうものはありますか?とか、こういうブランコはとかどうですか?という話は、基本的に営業担当者が対応していて、実は僕自身はほとんど関わっていません。ただ納まっている遊具に関していうと、ブランコの上側のバーを梁材というのですが、黄色いものになっています。黄色を規格で作っているのは多分うちくらいだと思います。ブランコは10年~20年持てばいいものと言われている中、わざわざ黄色に塗る必要はないんですけど、うちの製品は黄色なんですよ。

なぜかというと、子ども達にとって黄色は目に付くので警戒色なのです。玩具とかにも黄色ってよく使われていますが、大きいものの塗装で黄色というのは実は大変なんです。一番下地が透ける色なので。

下が透けるのできちんと上手に塗ってあげないといけない。手間掛かることをやっていますが、そんな遊具が納まっていますので、いい遊具を選んでいるなと思います。個人的にです。

髙田:
なぜ黄色に塗っているのですか?

深澤さん:
ブランコの仕様は、元々持つところがガッチャンガッチャンなる大きいロックチェーンみたいなのが一般的なのですが、持ち手が美しくないというか、きれいじゃないっていう思いがあって、そこをロープにしたんです。ただのロープではなく、中に鉄のワイヤーが入っていて編み込んで作られたザイルロープと呼ばれるすごい強度のロープで、それが赤いものなんです。

そのロープとデザインとしてマッチして、かつ子どもにとって、ちゃんと正しく目につく。
やはり子どもに視認してもらって気づいてもらう、アピールするというのが、遊具としても遊んでもらうために必要だと思っていて、遊びがあまりにも少ないから、あれば何かものすごく人が集まるっていう時代でもないので、ちゃんとアピールする必要あるなと思って、黄色にしました。

ちなみに6年ぐらい前にベトナムにうちの会社の遊具を納めたことがあるのですが、もうオープンとともに本当に鈴なりに大人も使うぐらいの勢いで来て、足りてないところってこういう感じだったんだなって思いました。僕は知らない時代ですけど、日本でも50年前とだったらたぶんそうなったと思うのですが、今は公園にちょっと新しい遊具ができたとなると、人が来ますけど、もう人だかりになるとかはないと思うんですよ。
そういう意味でも、ある程度足りている時代の中で、遊具っていうのが自分でちゃんと色とか形とかアピールしてあげる必要はあるなって、個人的にはそう思います。

髙田:
先程、お子さんの話に戻すのですが、桐朋に皆さん入っていて、ご自分の時代と今の桐朋教育を比べてみて、ここは変わらないなっていうことと、ここは変わったなっていうことはありますか?

深澤さん:
変わらないなと思うのは、テストが無いところですね。
一方で変わったなと思うのは、子どもの勉強に対する姿勢は変わった気がしますね。
なんとなくですが、これがいいのかどうかは分からないですけど、すごくみんな、きちんと塾に行くとか、勉強するとか、真面目に考えているので、親の側がすごい変わってきているんじゃないかなっていうのは、ちょっと何か感じますかね。

僕は桐朋のあの雰囲気のままやってればいいんじゃないかと思いますね。たまに授業中に寝て怒られたぐらいのことはありましたけど、人に迷惑をかけずに、楽しく生活をしていれば、中高生になってから頑張れば別に勉強なんてなんとかなると僕は思うので、もう少しゆったりしていればいいんじゃないかな、という風に個人的には思います。みんな焦っているのかな。親が焦っているんじゃないかなと思いますね。
僕も、小学校から話が外れますけど、大学受験の勉強を始めたのは高3の春で、それまではあまり勉強しなかった方なので、良いことかどうか分かんないですけど、でも腹を決めたらすごいやるっていうのは桐朋っぽいし、そっちの方が楽しいのになぁって僕は思っちゃいます。まぁ、人によりますけどね。

髙田:
今の仕事やっている上で、桐朋で学んだことが活きていることはありますか?

深澤さん:
何でも必要なことは、自分でやってみるというのはすごく活きていると思います。

多分、一般の社長業の中でも、すごく仕事をする方だと思うんです、自分のこと。すごく仕事するというのは、長時間労働ということを意味しているのではなく、土日とかも仕事したりするので、労働時間が長いってことももちろんあるのですが、それ以上に全部やる社長なんですね。

設計開発があります、製造があります、営業があります、と一般的にいうと作って売るというのが、製造業って言われるんですよね。創造の作る、製造の作る、セールスの売る。それ以外にもマーケティングがあります、広報があります、人事があります、総務があります、経理があって、財務があってITがあってリーガルがあって、全部やるんです。

全部やるっていうのは、俺が全部やるからお前ら従えっていう、そういう社長業ではなくて、それぞれのジャンルに関わるのが楽しくて。例えば、ITだったらITの情報システムの部長、営業だったら営業の部長、そして製造現場の人に至るまで、ここはどうやっているのかとか、なんでこうなるのかみたいな話をして、この観点だったらどうなるかな、みたいな話をするのがすごく好きだし、それをやっています。
社長を継いだのは30歳の時なので、それなりに若気の至りで、会社がドタバタした時期もありましたが、乗り越えられたのは、たぶん仕事が好きなのと嫌だな苦手だなって思っても、一回飛び込んでやってみるみたいなのがあったので、乗り越えられたなと思っていて、なのでそこが桐朋っぽいなって自分のことを思います。

髙田:
ありがとうございます。そろそろ最後の質問になります。今、いろんな公園がありますが、お勧めの場所はありますか?

深澤さん:
こういう時に、僕はどこでもいいから海外の公園って言うんですよ。
公園にこういう観点で行った方がいいよっていうのって何か気づきとか、素晴らしい何かがあると思うんです。

それでいくと、一番は今家の近くにある公園と言っていて、各々の家の近く一番近くの公園行ってください、と。それが自分の住んでいる文化圏の中で一番近い凝縮された何かです、と。
例えば、僕の家の近くに公園がありますけど、やっぱり自然がすごくいっぱいある公園なので、人が集まりますが、すごく高齢の方が増えているなとか、そこに気づけることが本来必要で、別に公園があるから、何か素晴らしい学びが得られるか、というよりは、公園とはある程度社会の縮図なので、なるべく自分の家の近くの公園に一つ行く。

その次に、自分の家から行ける範囲で、大きい公園に1つ行ってみる。
さらに海外の公園に行く、とこの3段階で比較すると、多分すごくいろいろな気づきがあると思うんですね。

ただ、残念ながら海外にはなかなか行けないので、しかも今コロナの感染者数も多いので、旅行もしづらいと思うんですけど、ちょっと違う生活圏、文化圏の大きい公園とかに行くといいと思います。
個人的には僕は今、大事な10代もしくは10代未満を過ごしている子ども達がこの2~3年の過ごし方によって、コロナ世代と言われないようにしないといけないと思っています。
たぶん、10年後とか15年後に、この時期10代を過ごした子たちがコロナ世代と名付けられ、グローバル感覚がない、なぜなら小さい時に行かなかったからだって、言われる憂き目に遭うことのないように、今海外の公園がどうなっているかを知るためにデジタルで繋ぐかとか、そういう開発が好きでやっているのですが、そういうことを今、この瞬間は技術として出来てないのであれば、なるべくそれができるように、少なくとも自分の家と違う生活圏のところの公園に行ってみてどう違うんだろう、何が違うんだろうなって、なんとなく見てみるっていうのがやれるといいなと思いますね。願わくば、チャンスを見つけて、海外の公園がいいと思います。海外だったらどこでもいいと思います。個人的には、オランダの公園がすごくいいと思います。人種の多様性と緩やかな差別しかない感じみたいなのも含めて、オランダの公園がすごくいいと思います。

髙田:
ありがとうございます。オランダに行けたら、公園に立ち寄れたらと思います。

深澤さん:
是非!オランダはいいと思います。

髙田:
本日は本当にお忙しいところありがとうございました。

深澤さん:
はい、ありがとうございました。

次回、卒業生のインタビュー記事は<2022年11月1日>に予定しています。

こちらのページでは、先生や卒業生の近況、また桐朋生にとって懐かしい方々を紹介いたします。
桐朋学園初等部同窓会は6,571名(2021年度3月時点)の会員から構成され、卒業生間の親睦と母校への貢献を目的に活発な活動をおこなっています。
卒業後も桐朋の教えをもつ仲間として、深い繋がりをもっていることが桐朋学園初等部同窓会の特徴です。

同期生同士の横の繋がりだけでなく、クラブ活動や課外活動等によって形成された先輩・後輩の縦の繋がりは、社会人になってからも大きな心の支えとなり、様々な場面で活かされ、その関係は一生のものとなっています。

「桐朋との繋がり」をきっかけに、更なる同窓生の交流が深まるよう、これから繋がりの深い方々を紹介していきます。