【Vol.32】桐朋との繋がり -51期 安藤 瑛さん 後編-

ゲスト    :桐朋学園初等部51期卒 安藤瑛さん(以下、安藤さん)
インタビュアー:桐朋初等部同窓会 会長 髙田紀世(以下、髙田)

 

安藤瑛さんとのインタビューの後編です。
前回のインタビュー<前編>はこちら

髙田:
それではお仕事のお話をお伺いします。今のお仕事を選んだきっかけはあるのですか。

安藤さん:
ちょっと遡ってお話をしても大丈夫ですか。
僕、もともと小学校のときもけっこううるさい方だったと思うんですよ。思ったらすぐバーって言っちゃうとか、なんか目立ちたがり屋で悪目立ちとかもけっこうしてたと思うんですね。急に大げさなことをしてみたりとか、サンタ見たよとか言ってみたりとか、何かそんなこともあった中で、中学に入ってもそれは変わらなくて、結局授業中になんか先生の雑談を引き出すやつとか居たじゃないですか。それたぶん僕で。

それとか何かがあって邪魔したりとかで、なんか人を喜ばせることとか、人に注目されることが好きなんだなっていうのを、何となく中学のときに感じていて、その時にサンドイッチマンっていうお笑い芸人の方がいて、そのサンドイッチマンがM-1で優勝して、それを見てお笑いってすごいなって、目立てるし人に喜ばれるし、悪目立ちはしないじゃないですか。

自分のことをクソガキだと思っていたので、そのクソを取るために人を笑わせる為にっていうことをちょっと考えながら、その先はわりと喋っていたりとか、そこを軸に生きてきたんですね。人を楽しませる笑わせるっていうところで、そのまま大学まで進学した中で、ずっとお笑い芸人になろうと決めていたんですよ。もう本当に就職活動ってだいたい3年生の時からやるって言うんですけど、本当に4月の最終の締め切りまで一切準備せず、もうネタしか書いてなくて、ここでまた面倒くさいのが僕は体育会水上スキー部という慶応大学の部活動に入っていたんですよ。

ここはすごい先輩と後輩のつながりが強い縦社会でもあり、お世話になるんですね。で、そこで日本一を目指して切磋琢磨して頑張った中で、その先輩が一言。就職活動だけはやってくれと就職活動っていうのはお前のそれまでの人生の総括なんだ。そんなに人に受けたいとか認められたいって思っている人間が、会社一つに認められないなんていうのはおかしいから試験でいいからやってこいって言われて、とりあえずじゃあやるかってなるじゃないですかで、何をやりたいなって思った時に、やっぱ人を楽しませるコンテンツを作ることかなって。

なおかつ多くの人に一番多くの人に見てもらえるのって、多分テレビのCMかテレビ番組なんですよ。見たいって思わない人にも届けられるじゃないですか。で、知ってもらえる。喜んでもらえる。という時にテレビを志望して、でも就活を始めるのがもう遅かったので、大体の企業はもう終わっていて、なのでNHKを受けてNHKに内定をいただいたので、そのままNHKに入っているという形ですね。

髙田:
お笑い芸人はどうするんですか。

安藤さん:
やろうとは思っていますけどね。3年はこの会社に居るって約束をしているので、その先輩と。
でも入ってみて、この仕事もすごく良いなっていうところもかなり多いので、まだ今も迷っているところでありますね。

髙田:
今もネタを作っているんですか。

安藤さん:
今も書いていたりはしています。
それこそお笑い番組が作れたら幸せかなっていう方にも若干メンタルが変わっているところもあります。

髙田:
先程と同じ質問ですが、お仕事をやっていて、苦労したことと良かったことをお聞かせください。

安藤さん:
仕事でってことですかね。
いろんなことに対する偏見は少ないと思いますね。
いろんなことやさせていただけるチャンスがあるじゃないですか。工作してみたりとか、社会科見学もやってみたりとか、何かポスター書いたりとか、絵画展をやったりとかというのを、結構ちゃんと大事にしているじゃないですか。

餅つきとかもあったり、焼き芋とかもあったり。そういうことしているので、世の中のいろんなことに興味があるというか、なのでモノを作る。番組作る。って好奇心の仕事だと思っていて、いろんな人にこんなのあるよって紹介するのもそうなんですけど、好奇心を与える仕事でもあり、僕の好奇心をが役に立つ仕事でもあると思います。だから、その好奇心の種っていうのがやっぱり桐朋にいたから培ったのかなっていうのは思いますよね。特に僕の好奇心の源のほとんどは自然広場だと思うんですけど。

楽しかったですよね。オタマジャクシとかいるじゃないですか。カエルとかの子供の頃から見れたりとか、何かちょっと行ってみたらヤモリがいっぱいいたりとか、ダンゴムシいっぱいいたりとか、そういう本当に小さなことへの興味を面白いんだってなれるきっかけというのがあってよかったことですかね。

苦労したことは、国立が遠かったですね。
あとは、みんな頭が良かったなっていうことですかね。進学校じゃないですか。僕は中学受験をしてないので、いわゆる受験の苦労をしていなくて、受験知識は少なくてそこに対するハングリーさとかは、ちょっと少ないのかなっていう。ある意味何て言うんですかね。幸せな環境で幸せな教育を受けてこれたので、ぬるま湯に浸かっているっていうのもあると思うんです。

そこのぬるま湯でいいやって思いながら浸かってところもあるし、でももうちょっとハングリーさ欲しいなみたいな思う時はありますけど、そんな些細なことではないです。

髙田:
お話をお伺いしていて、
周りの人が苦労かなって思うようなことも、とても前向きに捉えていて、素晴らしいことだと感じました。

安藤さん:
ありがとうございます。

髙田:
お笑い番組を作ること以外にこれからやりたいことはありますか。

安藤さん:
具体的には、本当に一つの目標がさっき言った、人を笑わしたい。楽しませたいが、大きな目標としてあって、それに対して小さな枝分かれしていくんですけど、なんか具体的にこれがやりたいという欲は意外となくて、なんか目の前にある小さなやりたいことを優先して大事にしているのはすごくあると思うんですね。

で、例えば番組作りたいとかも、まずはその人を喜ばせる。楽しませることができる人への基礎を学ぶ場所だと考えて、それがどんどん大きくなっていったときにどうなんですかね。今の状況じゃ言えないですけど、例えば日本で一番何て言うんっすかね、人が見ている人を楽しませたり、喜ばすのって紅白歌合戦とかかなと思うんですけど、それに関わって作って、自分が演出でやってみたいとか、そういう野心的なことはあるんですけど、意外と目の前のことの方が大事というか、今やりたい事とか2~3年後にやりたいことの方が多いですね。

髙田:
安藤さんの作る番組はきっと楽しい番組になるとは思います。こちらも楽しみにしております。
最後に、今の若い同窓生たちに向けて何かメッセージはありますか。

安藤さん:
この質問はすごい難しいなと思うんですけど、なんかさっきは楽しい楽しいって連呼してるんですけど、楽しいって言葉って楽するとかじゃなくて、欲求を満たすっていう意味があるんですね。多分欲求ってあるじゃないですか。

小さいことでも、大きいことでもお金欲しいでもいいですし、人の前ですごいって思われたいとかでもいいし、その小さな欲求を少しでも多く満たす仕事っていうのを選べば、仕事じゃなくてもやりたい事としても生きる道を選んでいけば、そういう中で振り返った時に楽しいし、今日小学校に来てみて、僕は振り返ることができたんですよ。ああ、こういう楽しいことやったなとか。

その積み上げることが一番大事なので、若い人とか今から何かしている人は自分の楽しいって何なんだろうっていうのを見つけられれば、その先はあとは自分で何とかできるじゃないですか。だから、ふと振り返ってちょっとでも小さいことでも楽しいことを探すのが一番いいんじゃないかなっていうのがすごい抽象的なんですけど、思ったよりいろんなところを見ると、自分の好きなものをいっぱい。実はあるよっていうところを知って、小っちゃくてもいいんでって感じですかね。

髙田:
今日、安藤さんがとても楽しそうにインタビューを受けている姿をから今の言葉の重みが伝わってきます。
本日は本当にありがとうございました。

安藤さん:
ありがとうございました。

次回、卒業生のインタビュー記事は<2023年4月1日>に予定しています。

こちらのページでは、先生や卒業生の近況、また桐朋生にとって懐かしい方々を紹介いたします。
桐朋学園初等部同窓会は6,571名(2021年度3月時点)の会員から構成され、卒業生間の親睦と母校への貢献を目的に活発な活動をおこなっています。
卒業後も桐朋の教えをもつ仲間として、深い繋がりをもっていることが桐朋学園初等部同窓会の特徴です。

同期生同士の横の繋がりだけでなく、クラブ活動や課外活動等によって形成された先輩・後輩の縦の繋がりは、社会人になってからも大きな心の支えとなり、様々な場面で活かされ、その関係は一生のものとなっています。

「桐朋との繋がり」をきっかけに、更なる同窓生の交流が深まるよう、これから繋がりの深い方々を紹介していきます。