【Vol.10】桐朋との繋がり -依田 功先生<後編>-

ゲスト    :依田 功先生(以下、依田先生)
インタビュアー:桐朋学園初等部同窓会 会長 坂口佐代子 (以下、坂口)

 

依田先生へのインタビューの後編です。

坂口:
ありがとうございます。最後の質問をさせていただきます。
すでに社会で活躍されていたり、これから活躍される”桐朋っ子”に向けて一言いただけますか。

依田先生:
今から50年前の子どもたちの声の中で、卒業文集に書いてあることなんですが、先生は「心も体ももっともっと大きくなれ」って言ったっていうことが書いてあるんですね。私がそう言ったのはきっと、子どもたちが持っている成長・発達の可能性を最大限に伸ばして欲しいよ、ということをこの言葉に込めていたんだなということを思っています。
具体的にはどういう内容なのかっていうことで、ちょうど『せんろ』の3月14日号ですから、いよいよ終業式の頃ですかね。一中のみんなが確かめ合ってきたこと、というのがあるんですね。
その一つに“自分で自分の生活を作りあげること”っていうことで、これは自主自立という表現ができると思うんですが、そういった自主自立の精神を持ってもらいたい、お父さんお母さん任せとか先生任せとかしないで、できることについては自分でやっていこうということがひとつだったと思います。

それから“友だちを大切にすること”ということで、友だちをまぬけとか馬鹿と言った時、先生はどんな顔して怒ったか思い出そうね、って書いてあるんですよね。
今ある“いじめ”ということに対して、とても敏感にやっぱり伝えていたのかなって思います。

それから3番目ですが“おおいに遊ぼう”ということで、体を通していろいろ学んでいくことがたくさんあるんだよっていうことをみんなで確かめたねっていうことでした。

それから4番目で“自分の課題を作ること”というもので、きっと宿題とかなんか、困った場面がある時に、人のせいにするようなことはしないで、自分は自分できちんと目標・目的を持って行こうではないか、ということを伝えていたんだと思います。今の子どもたちにも十分通用する言葉かなと思っています。

それから現在社会人として、職場とか家庭とかいろいろな地域活動とかで頑張っておられる方がたくさんいらっしゃると思うんですが、月並みですがなんといっても「心も体も健康であってもらいたい」ということがまず第一ですね。

それからあとはもう一つあるんですが、
この頃特に思うことですけども、子どもたちにも大人の皆さん方にも、ぜひ人としての多様性を認める集団の一員であって欲しいと思います。
武藤先生が、『子どもの夢が育つ学校改革』という冊子を作られていますけれども、その中でも“支えあって生きる”という教育理念を紹介されているところがあるんですけれども、その支えあって生きるということが、今いろんな人にとても大事なことではないかなと思います。
また同じように、受け止めたいのですが、桐朋幼稚園のブックレットの『一人ひとりの、幸せな子ども時代のために』の中に卒業論文の紹介がしてあるんです。その中で書いてあるのが、
「まず相手を否定するのではなく、できる限り認めてあげる努力をしたいと思います。」と「私とダンゴムシ」という論文の中で、こういう人間関係についても言及されているのは、素晴らしい論文だなと思います。
今の子どもたちが日本の社会で後を絶たない、いろんな出来事にきっと胸を痛めていることと思うんですが、子どもや介護されるべき人への虐待とか、それから学校や職場でのいじめ・自殺などが報道されるたびに、もっともっと一人ひとりの個性を大事にして、人間としての多様性を尊重されるようになってもらいたい、ということを思います。さらにまた同窓会を通して一人ひとりがそういう考えを広めるというか、想っていただくとまた社会が変わっていくのかな、ということ思ったりしております。
以上が、子どもたちに、大人の皆さんに伝えられたらいいかなということです。

:坂口
本当に素敵なお話をありがとうございます。
素晴らしい学校を誇りに思います。
本日はお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。

次回は古谷先生にインタビューをして、色々なお話をお伺いしたいと思います。
次回の掲載は<9月20日>に予定しています。

こちらのページでは、先生や卒業生の近況、また桐朋生にとって懐かしい方々を紹介いたします。
桐朋学園初等部同窓会は6,094名(2017年度3月時点)の会員から構成され、卒業生間の親睦と
母校への貢献を目的に活発な活動をおこなっています。
卒業後も桐朋の教えをもつ仲間として、深い繋がりをもっていることが桐朋学園初等部同窓会の特徴です。

同期生同士の横の繋がりだけでなく、クラブ活動や課外活動等によって形成された先輩・後輩の縦の繋がりは、社会人になってからも大きな心の支えとなり、様々な場面で活かされ、その関係は一生のものとなっています。

「桐朋との繋がり」をきっかけに、更なる同窓生の交流が深まるよう、これから繋がりの深い方々を紹介していきます。