【Vol.15】桐朋との繋がり -マリンバ奏者 SINSKEさん<前編>-

ゲスト    :マリンバ奏者 SINSKEさん(以下、SINSKEさん)
インタビュアー:桐朋学園初等部同窓会 会長 坂口佐代子 (以下、坂口)

 

坂口:
本日はお時間を頂きましてありがとうございます。

SINSKEさん:
こちらこそ、ありがとうございます。

坂口:
早速ですが、最初の質問です。
SINSKEさんと学校との繋がりは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

SINSKEさん:
はい。僕は元々幼稚園からけっこうやんちゃな性格だったので、ミッション系の幼稚園で、かなり浮いておりまして。皆さん名門の学校に行かれるような方しかいらしてないようなところだったんですけど、僕は大体の学校は受からないだろうと言われていて、それは校風に合わないと(笑)

そんな中で母は結構苦労して、どんなところがいいのか探しているときに、生江校長の理念というもの、子どもの自由、個性を伸ばすという教育方針に、非常に興味を持っていて。その後運動会に2回ぐらい見に来て、あとは美術展に行ってたという話をしてましたけども。
この学校だったら、このやんちゃな子を許容してもらえるのではないか。っていうところで、絶対桐朋にという事で、桐朋一本の受験に決めたそうです。

もし受験に落ちたら、母は「家の子をこの学校に入れないことは学校の損失ですよ」と言って、生江先生のお家の前で座り込みをする予定だったらしいですけど(笑)
結果、運よく合格することができまして、それは何かあったのでしょうね、そういう運命みたいなものが。
それがなかったら僕も多分、今音楽ということ自体やっていなかったかもしれません。
やっぱり桐朋にいたから、今があるって事がどっか体の中にあって、もし桐朋小学校来てなかったら間違いなく、今の人生を送ってないという意味で心から感謝していますね。

坂口:
ありがとうございます。続いての質問です。
SINSKEさんにとって、桐朋への想いをお聞かせいただけますでしょうか。

SINSKEさん:
そうですね。
今の話とも少し重なる部分があるんですけれども、人として受け入れてもらえることって、自分の人生を鑑みてもそんなに簡単な事ではないって思っているんですよね。
僕も桐朋で沢山の先生に出逢ってきましたけれども、やはり先生の皆様それぞれに個性がおありになってて、僕の個性も、拒絶しないで一回受け止めてくださる。っていう、そういう部分において、やはり桐朋っていうのは非常に懐が広いなと感じます。

色々な思い出がありますけども、いつも破天荒なことを持ちかけて先生を困らせていたんですけれども、その時も一回ちゃんと受け取ってもらえたっていうのはやっぱり卒業した今でもあって。これは余談になるかもしれませんが、当時4年生か5年生の時に、ちょうどキン肉マンの消しゴムが流行っていまして、キン肉マンに登場しているキャラクターの消しゴムですね。それを集めるのが学校で流行っていたんですけど、僕も持ってきて遊んでいたら、先生に怒られまして、一人目の担任の先生の時に「学校にそういうものを持ってきちゃいけないです」と言われて、「なんでですか?」と質問をしたところ、「手が溶けるから」というようなことを言われましてね(笑)

いや手は溶けないだろと僕は思っていたので、手が溶けるんだったらそれは問題と思いまして、軍手と手袋を何種類か用意して、これだったら手は溶けないんじゃないかって言ったら、ちゃんと委員会にかけてくださいまして (笑) 今、大人の気持ちで考えると、

「今日の議題はキン肉マン消しゴムを触ると手が溶けるかについて話し合いたいと思います。一人生徒が、手袋を提案してきたのですけども・・・」ということが行われていたんだと思うんですね (笑)


結果、手は溶けないという結論に至ったんですけど、やはり大人は一回言い出したことを引き取るってとても難しいことだと思うんですけど、でも節度を守れば使って遊んでいいよ。ということになったんですけれども、手が溶けるって、どこに行っちゃったのかなとは思ってたんですけど、ただちゃんとそれを大人の視点で一回受け取って、子どもがこう言ってるから考えてみよう。で、考えてみて認めてあげよう。っていうのは、つい大人って意地を張ってしまうというか、そういうところでちゃんと子どもと同じ立場になって、真剣に受け取って頂けたというのは、そういう部分がやっぱり学校自体の姿勢が現れると思うんですよね。

だから、その桐朋の自由な・・・逆に大人になっても、まあ今のエピソードが良いか悪いかは別にしてですが、しっかりと物事を一回受け取って考えるっていう姿勢自体は、やはり桐朋時代の経験とか、いろんな悪さやいっぱいイタズラとかしてきたんですけど、そういうものがただ頭ごなしに怒られるだけじゃなかったっていうところが、この学校に対する愛が募っていかないと、心情的にどっかで抜け出したくなりますよね。
また、中学・高校と国立と違うキャンパスで過ごしていましたけれども、雰囲気も全然違いましたし、多分そこでまた仙川に対する憧憬もあったと思うんですけど、やっぱり桐朋愛があったからこそ、桐朋学園大学に戻ってきたと思っておりますので、そういう意味では僕の半生を作ってるのは桐朋ですから、自分の体の半分は桐朋だと思っていますね(笑)
想いっていうのは、桐朋に対するというよりは、自分自身が桐朋だっていうぐらいの気持ちでおりますので、自分を大切にということは、桐朋を大切にすることと同じなので、それこそこういったお話は大事にしていきたいなと思います。

<編集部よりマリンバ奏者SINSKEさんのリリース情報>
CDデビュー15周年を迎えられて、これまでの活動の集大成となられる『Prays Ave Maria』を2018年12月5日にリリースされました。
同窓生のみなさま、在校生のみなさま、是非お手に取ってお聴きください!最高のアルバムです!!<メディア出演やコンサートなどの詳細情報はオフィシャルサイトへ>

次回、後編を<2月20日>に掲載を予定しています。

こちらのページでは、先生や卒業生の近況、また桐朋生にとって懐かしい方々を紹介いたします。
桐朋学園初等部同窓会は6,094名(2017年度3月時点)の会員から構成され、卒業生間の親睦と母校への貢献を目的に活発な活動をおこなっています。
卒業後も桐朋の教えをもつ仲間として、深い繋がりをもっていることが桐朋学園初等部同窓会の特徴です。

同期生同士の横の繋がりだけでなく、クラブ活動や課外活動等によって形成された先輩・後輩の縦の繋がりは、社会人になってからも大きな心の支えとなり、様々な場面で活かされ、その関係は一生のものとなっています。

「桐朋との繋がり」をきっかけに、更なる同窓生の交流が深まるよう、これから繋がりの深い方々を紹介していきます。