【Vol.71】桐朋との繋がり -46期 内藤 智文さん 後編-

ゲスト    :桐朋学園初等部 46期 内藤 智文様(以下、内藤さん)
インタビュアー:桐朋初等部同窓会 会長 髙田紀世(以下、髙田)

 

内藤 智文さんとのインタビューの後編です。
前回のインタビュー<前編>はこちら

Tomofumi NAITO, JPN, Bib number 41, Podium Photo, Men’s Large Hill HS134 at Viessmann FIS Ski Jumping World Cup 2025-26 in Oslo, Norway, 2026-03-15, Photo Credit: Julia Piatkowska

髙田:
本格的にジャンプで、もっと上の方を目指していこうという気持ちになってっいったのですか?

内藤さん:
上を目指すという意味で言うと、中学校3年生の時は全国で40番目なんで、まあ上にもいっぱいいるし、下にも強い選手がいるみたいな状況だったので、高校3年生の時にインターハイ入賞できればいいなみたいな、3年間で成長するというイメージをまずは持っていました。それを上目指してって言われれば上を目指してなんでしょうけども、だからといってオリンピックに出られるわけではないっていうのがよくわかっていたので、ガチな部活を無我夢中で一生懸命やりますみたいなテンションですね。

髙田:
大学もスキージャンプをずっと続けらしてらっしゃったんですよね。

内藤さん:
結果的にはジャンプをやるために特化したような進学の仕方をしましたね。
本当にこれが最後の4年間だと思っていて、無事にインターハイも入賞できたので、あとは世界大会であるユニバーシアードに出場して終われればいいなみたいな、という気持ちがありました。本当にいろいろそっちのけで、なんていうか進路を選んだので、割と親とも揉めました。やはり、土台に桐朋がある分、結構進路のところは悩みました。ただ、今の立場になってようやくその進路も正解にできたなと思っています。

髙田:
社会人になっても選手を続けたのは理由がありますか?

内藤さん:
そうですね。社会人になってから、趣味に近いような形でジャンプを長く続けようというモチベーションはありました。そうした中で、茨城のスキー連盟が4年後の国体に向けてちょっと選手集ていて、そこまでいい環境は提供できないけど、「ジャンプを続けることはできるよ」みたいな環境を用意していただきました。国体選手としての一つ自覚が生まれました。半分仕事みたいな形でスキージャンプをできる状況だったので、そこに対してできる範囲で一生懸命やろうみたいなところから始まった4年間でした。

ジャンプ生活の最後を、なんとか走り抜けようみたいなところはありましたね。大学4年間がいろいろこう噛み合わなくて、ギリギリ成績が残せないみたいな時間が続いてたので、そこをうまく払拭できるような4年にできればいいなみたいな気持ちはありました。

髙田:
競技を今日まで続けていったモチベーションは何ですか?

内藤さん:
それはよく聞かれるんですけど、どちらかというと中学生の頃から競技をやめたくないっていう気持ちの方が強くて、続けたいというよりも、やめる方が怖いみたいなような状況だったので、ちょっと表現が変わるというか、何て言うんですかね、命からがら続けてますみたいなところをなんか乗り越えてきてるような、それこそ社会人になってからなんですけども、そういう感じなので、あんまりモチベーションが必要ないというか。そもそもジャンプをやりたいっていうモチベーションが。ジャンプをやりたいっていうエネルギーというか、根源にあるっていうところなので、そこは大きく他のアスリートとは異なるかなと思います。

髙田:
スキージャンプの魅力って何ですか?

内藤さん:
最初はやっぱり恐怖心を乗り越える。で、スピード感もありますし、ふわっと浮く感覚もありますしっていうところで、まずそこが最初の入り口だと思っています。
その後、やっぱり距離が伸びてくれば、当然だんだんと楽しくなってくる。そういう達成感とかもありますし、本当にレベルが高くなってくると、本当に後半浮き上がってくるような独特の感覚、不思議な感覚が得られるので、それはなかなか他のスポーツだったり、なかなか味わえないものなので、そういった魅力はありますね。

髙田:
飛んでる時はどんなことを考えるのですか?

内藤さん:
考えるほどの余裕はないので、ただ本当に風が後ろの方向から吹いてくるので、いろいろこう、スキーが動いたり、体が動かされたりするので、それに毎回反応するみたいな感じですね。

髙田:
見てる側からすると、とても面白いけど実際にやるとなるとスキージャンプはすごい怖い。よく飛べるよな!と拝見させていただいてるんです。ジャンプをするための特別なトレーニングとかあるんですか?

内藤さん:
私が得意としていたというか、社会人になって練習時間が少なくなって取り組んでいたのは、道具をいっぱい使うスポーツなので、その道具をしっかり使いこなしましょうみたいなことは頭に入れていましたね。結構いろいろ道具もセッティングがあって、ミリ単位の調整やグラム単位の調整があったりするので、そこと自分の技術でどうやって遠くに飛んでいくかっていうことを考えて取り組んでいました。

髙田:
道具もありますもんね。スキー板って試合の時って何本も持っていくものなんですか?

内藤さん:
基本的にはあんまり消耗するものではないので、接してる時間も短いですし、あんまり本数もいっぱい飛べるものでもないので、基本的に1本でよくて、ただ予備に1本あればいいかなみたいな。もちろんスポーツなので、たくさんは必要ないっていうか、必要ないですね。

髙田:
手入れもしなくちゃいけないですもんね。

内藤さん:
そうですね。ジャンプ台によってこう微妙なセッティングを変えてみたいなことを私はするので。
結構あんまりそういうのは好まれない業界なので、自分の力で飛んでけよみたいな感じで、そういうところと共存は求めながら取り組んではいます。

髙田:
ワールドカップなど世界中いろいろな大会に行かれていてそれぞれジャンプ台の大きさや、そこからの景色が違ってくると思うんですが、飛んで気持ちよかったところはありますか

内藤さん:
気持ちよかったという点で言えば、ずっとフライングヒルを飛びたいと思っていた中で。4か国で4種類あるフライングヒルがあって、その全てを飛べたことです。飛べたっていうのがまず一番大きかったですし、中でもノルウェーで2位に入った。 そこのジャンプ台は相性も良くて、はい、自分の力以上の成績を出すことができたので、そういう意味ではノルウェーのフライングは気持ちよく飛べました。

髙田:
海外遠征もね、いろいろ大変だと思うんですけれども、なんか海外行くのに気をつけてることとかはあるんですか?

内藤さん:
海外遠征に行くというか、遠征自体は割と至れり尽くせりなので。
あまり気を付けることはありません。ご飯美味しくなくて、みんなわーわー言ってますけど、私は別に食べそんなに困らないタイプなので行くまでのところが大変ですし、その中で点々と移動していくのはやっぱり大変だなっていうところですかね。

髙田:
桐朋の教育の中でこれがあるから今があると思うものはありますか?

内藤さん:
感性というか、勘とか、そういったものをこう養ってきたかなっていうふうに思います。
国語、算数、理科、社会とか、いろいろ学習に使う武器みたいなものは、正直そんなに得られてなくて、私の努力不足なところもあると思うんですけども、やっぱりそこがうまく中学校では通用しませんでした。

しかし、34年の人生をこう見た時に、スキージャンプという世界ではあるんですけども、22歳から社会人が始まって、26、27歳で一つこうひと皮剥けて、30歳で結果を出してみたいな、30代の理想的なな成長を社会人としてではなく、スポーツでできている、このような不可思議なことができているのは、いろいろ「感じる力」みたいなものが養われたなと思います。

ただ、それはすぐに力になって、結果が出るものじゃないので、時を経て使えるようになってくるとか、扱えるようになってくる、そういったものを桐朋にいた8年間ではかなり養えたかなと思いますね。

髙田:
感じる力ですね。

内藤さん:
はい。

髙田:
これからの目標を教えていただいてもいいですか。

内藤さん:
スキーを割と長く続けられるように頑張っていきたいなっていうところが1点あります。
今は結果を出せなければスキーを続けられないような状況なので、まずは一年一年全力で取り組んでいく。それをうまく積み上げていくことができれば、またもう一段上の世界に行ける可能性はあると思っているので、たどり着けばいいなとは思っています。
本当に一年一年というか、一試合一試合、取り組んでいきたいなというところが一番大きいですね。本当に積み重ねていきたいなというふうに思っています。

髙田:
来年度はまたワールドカップ遠征が続いていく感じなんですか?

内藤さん:
結果次第ではありますけども、おそらく最初のワールドカップには回れるとは思うので、昨年のあのような成績を積み上げていければ、本当に次のステージが見えてくるような状況なので。
そうですね、そこに力を落とさない、進化させていけるように、なんとか仕事と両立できればいいなとは思っています。そんなに甘くないので、ちょっとあんまり見通しは立ってないなって感じながら、どう頑張っていくかなっていうところを考えながら取り組んでいくみたいな感じです。

髙田:
仕事の両立で工夫していることはありますか?

内藤さん:
まだライフサイクルに慣れてないところはちょっとあるので、まあどっか工夫の余地はきっとあるんですけど、それをちょっと探っていくような形、探っていきながら結果を出していきたいなと思いますし、昨年たまたま結果が出たので、それをヒントにしながら、なんとか取り組んでいきたいなと思います。

髙田:
ワールドカップのホームページをチェックしながら応援をさせていただきたいと思います。
最後に同窓生たちにお言葉をお願いできますか?

内藤さん:
本当に素晴らしい教育機関だなと20代後半になってから感じることが多くて、それは嫌いであった音楽であったり、まあ民舞だったり、ああいったところの文化に触れる機会が多かったので、先の感性にもというところにもつながってきますけれども、いい影響を受けてきたなと思います。ただ、外に放出するタイミングというか、力を活かすみたいなタイミングってきっとどこかで来ると思うので、その瞬間が訪れると、より人生がいいんじゃないかなって思ってます。

髙田:
来シーズンの活躍を期待しています。ぜひ頑張ってください。ありがとうございました。

内藤さん:
ありがとうございました。

次回、卒業生のインタビュー記事は<2026年12月1日>に予定しています。

こちらのページでは、先生や卒業生の近況、また桐朋生にとって懐かしい方々を紹介いたします。
桐朋学園初等部同窓会は6,928名(2026年4月時点)の会員から構成され、卒業生間の親睦と母校への貢献を目的に活発な活動をおこなっています。
卒業後も桐朋の教えをもつ仲間として、深い繋がりをもっていることが桐朋学園初等部同窓会の特徴です。

同期生同士の横の繋がりだけでなく、クラブ活動や課外活動等によって形成された先輩・後輩の縦の繋がりは、社会人になってからも大きな心の支えとなり、様々な場面で活かされ、その関係は一生のものとなっています。

「桐朋との繋がり」をきっかけに、更なる同窓生の交流が深まるよう、これから繋がりの深い方々を紹介していきます。